技能者のレベルを指定できる制度を創設
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国土交通省は、建設キャリアアップシステムに登録・蓄積されるデータを活用した「技能者の能力評価」をベースに、注文者が当該工事の施工に必要な一定の知識・技能を持つ技能者の配置を求めることができる「リクエスト制度」の創設に取り組みます。
スキルを持つ技能者や、そういった技能者を抱える専門工事企業こそが選ばれる環境を築くことが狙いです。
2018年5月28日の中央建設業審議会・社会資本整備審議会産業分科会建設部会「基本問題小委員会」に、取り組みの方向性を提示しました。
テーマの1つとなっている、建設業法への「技能者の位置付け」に関する取り組みの中で、リクエスト制度の創設や、施工体制台帳への技能者の記載(見える化)、技能の向上に対する努力義務(技能者の育成)が打ち出されました。
建設工事の高度化あるいは専門家(分業化)が進む中で、これまで以上に技能者が果たすべき役割の重要性が増している点が注目され、建設業法の目的である「適正な施工の確保」と「発注者の保護」にとって、技能者の制度的な位置づけが必要と判断されました。
建設キャリアアップシステムによる「技能者の能力評価」を前提としています
注目を集めているこのリクエスト制度は、建設キャリアアップシステムによる「技能者の能力評価」を前提とする仕組みです。
例えば、現場作業で一定のスキルを要求されるケースや、多数の現場作業員のマネジメントが必要となる工事など、一定のスキルを持つ技能者がいないと適正な施工が確保できない可能性がある場合に、注文者(発注者・元請け・上位下請け)が技能者のレベルを指定することができます。
建設業法23条の注文者による「下請負人の変更請求」を参考に立案されました。
このリクエストによって、配置する”代償”として、注文者に相応の対価の支払いを促す仕組みを描いています。
現場に従事する技能者の見える化に踏み出す
「スキルを持った技能者がきちんと配置されているかどうか」ということが、注文者にとっての関心事項になっている点にも対応しています。
現状の施工体制台帳は、主任技術者や外国人建設就労者、外国人技能実習生の有無が法令上の記載事項となっていますが、実態として、作業員の名簿を添付する取り組みも行われている点が注目されています。
作業員名簿の添付を制度化することで、現場に従事する技能者の見える化に踏み出します。
体系的に人材育成を図る必要性から、技能者や技能者を雇用する建設企業に建設工事の適正や施工を確保するための知識や技術、技能の向上に関する努力義務を課します。