【令和7年9月改正】建設工事の注文書・請書について継続的取引で押印が不要に
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注文書・請け書の押印免
国土交通省は、建設工事の請負契約で交わす注文書・請け書について、一定の要件を満たす場合に署名や記名押印を扶養にできることを明確にした。
6月に閣議決定した規制改革実行計画を受けて運用を見直した。基本契約書を締結した契約当事者が対等な関係にあり継続的な取引をしていれば、両者の合意のうえで押印を免除できる。
これまでの原則:建設業法第19条の契約義務
建設業法第19条では、建設工事の請負契約を締結する際、署名または記名押印を行った契約書を当事者間で交付する義務が定められている。これは、契約当事者を明確にし、工事内容や工期、金額などを双方が確認できるようにするための規定。
現場の実務では、発注者が発行する「注文書」と、請負者が応じる「請書」を交換することで契約を締結するケースが多く、この方式も建設業法上の契約書面として認められ、いずれも押印を求めていた。
改正の背景:規制改革による契約事務の効率化
近年、電子契約や省力化の流れを受け、政府の規制改革推進会議からも「建設業界の契約事務負担を軽減すべき」との提言が出されていた。
3月に開かれた政府の規制改革会議作業部会で、不動産事業者は基本契約書への押印を前提に注文書・請け書の押印免除を要望。国交省も請負契約の片務性や一般消費者のリスク助長の解消を前提に検討する考えを示した。
6月に閣議決定した規制改革実行計画には、一定要件を満たす場合の注文書・請け書の押印免除について2025年度上期までに措置することが明記されていた。
これを踏まえ、国土交通省は令和7年9月30日付で都道府県知事あてに通知を発出し、条件を満たす場合には注文書・請書への押印を不要とすることを正式に認めた。
押印不要が認められる要件
令和7年9月30日付の通知(国土交通省 不動産・建設経済局 建設業課長発出)では、押印を省略できるのは次の条件をすべて満たす場合に限られている。
- 発注者が消費者契約法上の「消費者」に該当しないこと
(法人同士、または事業者間の取引であること) - 基本契約書を締結しており、法令遵守や対等な関係を確認していること
(元請・下請間でパートナーシップ構築宣言などが交わされていることが望ましい) - 過去に継続的・反復的な取引実績があること
(単発の取引ではなく、複数回の契約実績があること)
これらの要件を満たす場合、両者が合意すれば注文書・請け書の押印を免除できる。建設工事の受発注者間だけではなく元下間も対象となる。
建設会社によっては一定規模以上の工事で書面への押印を望む声もあるため、契約金額や工期などを勘案して両者の合意に基づいて押印することも認める。
建設業者・発注者のメリット
この改正によって、次のような実務上のメリットが生まれます。
- 繰り返し契約を行う元請・下請間での契約書面作成の手間が軽減される
- 電子契約システムとの親和性が高まり、デジタル化が進む
- 契約締結までのスピードが向上し、事務コストの削減につながる
特に、長年取引を続けている建設会社同士では、契約書の押印省略が大きな業務効率化効果をもたらす可能性がある。
【参照資料】
日刊建設新聞、日刊建設工業新聞、日本工業経済新聞社、国土交通省HP、 一般財団法人建設業情報センターHP
一般財団法人建設業振興基金HP
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