「監理技術者制度運用マニュアル」を改正
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国交省 監理技術者マニュアル改正
10月1日から施行される改正建設業法では、
1.監理技術者の専任緩和
2.主任技術者の配置義務の見直しなど
工事現場の技術者に関する規制が合理化されます。
これを踏まえ、国土交通省は9月30日に
「監理技術者制度運用マニュアル」を改正し、都道府県、地方整備局、建設業団体などに通知しました。
この「監理技術者制度運用マニュアル」には改正建設業法の規定を実際に現場で適用する際の具体的な留意事項を盛り込まれています。
監理技術者の専任緩和の規定とは
建設業法改正により3,500万円以上(建築工事一式の場合は7,000万円以上)の工事については
監理技術者補佐を専任で置いた場合については監理技術者は2つの工事まで兼務が可能になりました。
監理技術者補佐とは一級施工管理技士補(令和3年4月1日施行)を有する者又は一級施工管理技士等の監理技術者の資格を有する者です。
改正の概要
○特例監理技術者(※1)を配置した場合の留意事項を明記(監理技術者の専任の緩和)
○特定専門工事(※2)を適用した場合の留意事項を明記(主任技術者の配置義務の見直し)
○その他法令改正に伴う見直し
- ※1 :法第26条第3項ただし書により、監理技術者の職務を補佐する者として工事現場に専任で配置した場合に兼務が認められる監理技術者
- ※2 :法第26条の3第2項により、一定の条件の下、元請負人に主任技術者を配置した場合、下請負人に主任技術者の配置を要しない工事
特例監理技術者を配置した場合の留意事項を明記(監理技術者の専任の緩和)
改正マニュアルでは、特例監理技術者制度を活用する際の留意事項を明記しています。
特例監理技術者には施工計画の作成や工程管理、品質管理など従前の監理技術者と変わらない責務が課されていることを明示しています。
加えて、補佐者を適切に指導監督し、両者の間で常に連携がとれる体制の構築を求めています。
工期の途中で監理技術者から特例監理技術者に変更する、あるいは特例監理技術者から監理技術者に変更する場合は、監理技術者の途中交代には当たらないとの解釈を明確化しました。
ただし、監理技術者が専任から兼務に変わり、補佐者を専任で配置するなど施工体制が変更となることから、事前に発注者に説明し、理解を得ることが望ましいとしています。
特例監理技術者が兼務できる範囲は、工事内容と工事規模、施工体制を考慮し、主要な会議への参加や現場の巡視、主要工程への立ち会いなど元請けとしての職務が適正に遂行できることが条件となります。
兼務を行うことが著しく不適当でその変更が公益上必要と認められる時には、国交相または都道府県知事から特例監理技術者の変更を指示できます。
補佐者については、監理技術者ではないことから、監理技術者講習の受講が必須ではないものの、資質の向上の観点から受講が望ましいことも記載しています。
【二-三 監理技術者等の職務】
- 監理技術者補佐を専任で配置した場合においても、特例監理技術者(※)に求められる責務は従前と変わらず施工計画の作成、工程管理、品質管理など監理技術者に求められる職務を担っている旨、明確化。
- 特例監理技術者は、職務を適正に実施できるよう、監理技術者補佐を適切に指導監督することが求められる。
【三 監理技術者等の工事現場における専任】
- 特例監理技術者が兼務できる工事現場の範囲は、元請としての職務が適正に遂行できる範囲とする旨、明確化。
- 特例監理技術者が工事の施工の管理について著しく不適当な場合、特例監理技術者の変更を指示する可能性がある。
- ※法第26条第3項ただし書により、監理技術者の職務を補佐する者として工事現場に専任で配置した場合に兼務が認められる監理技術者
特定専門工事を適用した場合の留意事項明記(主任技術者の配置義務の見直し)
「特定専門工事」の適用の際の留意事項も盛り込まれています。
◆特定専門工事一括管理施工制度
特定専門工事の元請負人と下請負人は、その合意により、元請負人が自ら工事現場に置く主任技術者が、その行うべき技術上の施工管理と併せて、本来であれば下請負人の主任技術者が行うべき技術上の施工管理を行うこととしたときは、下請負人は当該工事現場に主任技術者を置くことを要しないこととする制度。
(改正建設業法第26条の3)
特定専門工事においては、施工体制の上位請負業者(元請けなど)の主任技術者が一定の指導監督的な実務の経験を保有し、且つ、その工事現場に専任で従事する場合、下位請負業者の主任技術者の現場配置を省略できる制度です。
特定専門工事とは、下記の2つの条件を満たす工事を言います。
・工事の種類:【鉄筋工事】と【型枠工事】の2種類(改正建設業法施行令の第30条第1項)
・下請代金の合計額:【3500万円未満】
すべての工事において主任技術者の配置省略ができるわけではありません。下記の要件を満たす場合に限り省略ができるというものになります。
要件を満たさず技術者の配置を省略してしまった場合には建設業法違反となりますので、技術者の省略を行う場合には要件確認を怠らないようにしなければなりません。
上位業者の主任技術者に求める指導監督的な実務経験の対象となるのは、工事現場主任者や工事現場監督者、職長などの立場で部下や下請業者に工事の技術面を総合的に指導・監督した経験としています。
上位業者の主任技術者から下請業者の技能者への指示は、下請業者の事業主または現場代理人など工事現場の責任者に行わなければならないことも規定しています。
主任技術者が下請けの作業員に直接作業を指示することは労働者派遣(いわゆる偽装請負)とみなされる場合があることに留意を求めています。
【二-二 監理技術者等の設置】
- 特定専門工事(※)の元請等が配置する主任技術者の要件の一つである「指導監督的実務経験」の内容を明確化。
- 特定専門工事の元請等の主任技術者が当該下請に対し行う指示
は、技術上の指導・監督に関する内容であり、当該下請の現場の責任者に対し行われるよう留意する必要がある旨、明確化。- ※法第26条の3第2項により、一定の条件の下、元請負人に主任技術者を配置した場合、下請負人に主任技術者の配置を要しない工事
その他法令改正に伴う見直し
その他、同マニュアルには、現場専任の解釈の明確化、監理技術者講習の有効期限の起算日の見直しなどの内容を追記しています。
【四 監理技術者資格者証及び監理技術者講習修了証の携帯等】
- 特定専門工事(※)の元請等が配置する主任技術者の要件の一つである「指導監督的実務経験」の内容を明確化。
- 特監理技術者講習の有効期限の起算日の考え方の見直しについて明記。
【七 建設業法の遵守】
- 建設工事の不適切な施工の原因が建設資材に起因する場合、建
設資材製造業者等に対して改善勧告・命令ができる旨、明記。
これまで発出済みの通知等に伴う見直し
【三 監理技術者等の工事現場における専任】
- 技術研鑽のための研修、講習、試験等への参加、休暇の取得、そ
の他の合理的な理由により、専任の監理技術者等が短期間工事現
場を離れることは差し支えない旨、明確化。
(参考資料 国土交通省ホームページ)