令和2年【建設業法改正】建設業許可にどんな影響が?!
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改正建設業法の施行期日決定!
今回の建設業法の改定は1994年以来の25年ぶりの抜本的改定となります。
この改正の一番のねらいは、建設業界の労働環境の改善です。
将来にわたって人材を確保し業界を維持していくとともに、生産性を向上させてより良い環境で働けるようにしていくことを目的としています。
施行期日は、3段階
主要な改正の施行期日は2020年10月1日ですが、これに向けて建設業者として準備すべき内容も多くあります。
◆2019年9月1日
「建設業従事者の責務の追加」
「建設業者団体等の責務の追加」
「中央建設業審議会の審議事項の追加」
「適正化指針の記載事項追加」
◆2020年10月1日
「経営業務管理責任者の規制の合理化」
「著しく短い工期の禁止」
「建設資材製造業者等に対する勧告」等
◆2021年4月1日
「技術検定制度の見直し」
改正建設業法主な改正点
今回の改正項目は以下のようになっています。
(1) 働き方改革に関する事項
長時間労働を是正するとともに、社会保険の加入など働く人の処遇改善を行うこととしています。
(2) 生産性の向上に関する事項
一定の条件を満たす場合、制度を柔軟化して生産性の向上を図ることとしています。
(3) 持続可能な事業環境の確保に関する事項
建設業界への人材の流入や、事業承継に関する制度の導入が図られています。
(4) 災害時における対応に関する事項
災害が発生した際や災害に備えた対応が盛り込まれています。
(1) 働き方改革に関する事項
建設業では工期に間に合わせるための長時間労働が当たり前とされていました。
まず「長時間労働の是正」という観点から、中央建設業審議会が工期に関する基準を作成しています。
■著しく短い工期での請負契約締結を禁止
中央建設業審議会が工期に関する基準に基づき、あまりにも短い工期による契約に対しては、
国土交通大臣からの勧告が行われることになりました。
公共工事の発注者に対しては、工期の確保や施工時期における平準化を講じるための努力義務が課されます。
■社会保険への加入が建設業許可を得るための要件に!!
これまで建設業許可を受けていた業者が更新する場合、あるいは新規に建設業許可を取得しようとする場合には、社会保険に加入していなければならないことになります。
■下請け業者には労務費に相当する金額については、現金払い
下請け業者、一人親方に対して支払う代金のうち労務費に相当する金額については、掛けや手形による支払いではなく、現金払いが求められることとなりました。
(2)生産性の向上に関する事項
■監理技術者が複数の現場を兼任が可能に
新たに技術士補の制度を創設し、元請けに技術士補がいる場合には監理技術者が複数の現場を兼任することが認められることとなりました。
下請の主任技術者について一定額未満の工事については設置不要とすることや、施工不良が資材の欠陥による場合、国土交通大臣は建設業者への指示に併せて建設資材製造会社に対しても改善勧告や命令ができるように変更されました。
(3)持続可能な事業環境の確保に関する事項
経営業務管理責任者の要件を満たす役員がいなくても、事業者全体として責任体制を有することで建設業許可が得られることに改められました。
また、合併、事業譲渡等に際し、事前許可の手続を踏むことで、空白の期間なく事業承継ができることとなりました。
これからは合併や事業承継がある場合には事前に準備しておくことで、空白期間が生じないようにすることが可能になります。
(4)災害時における対応に関する事項
災害時に大きな混乱を引き起こさないよう、発注者である地方公共団体は緊急性に応じて随意契約・指名契約の適正な選択を行うものとされました。
また、発注者としての地方公共団体は災害時対応を円滑に行うため建設業団体との災害協定を締結しておくべきとされています。
建設業許可取得に対する対応
今回の改正で最も大きく変わると言われているのが、経営業務管理責任者の要件を満たす役員がいなくても建設業の許可を受けることができるようになる点です。
この改正によって、法人の役員人事に頭を悩ませる必要がなくなり、新たに建設業許可を受けることも今までより容易になると思われます。
ただし、それに代わる会社としての体制が求められていることから、経営業務管理責任者の確保が許可を受ける際の要件からは外されたものの、管理業務を行える体制を作る必要があります。
また、社会保険の加入が建設業許可の要件とされたことで、社会保険未加入の事業者についてはその対応が必須となります。
なお、今回の改正は2020年秋以降に施行されるため、特に建設業許可の要件に関するものについては早めに対応する必要があります。