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建通新聞【建設論評】専門工事業界がもう一度 より

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建設キャリアアップシステムは、誰のためのものか。

建設キャリアアップシステムは、「誰のためのものか。」こう感じさせられる昨今です。というのも、最近、専門工事業の経営者が冷めた発言をすることが多くなっているのです。

ある専門工事業団体のトップは、支部長が集まる会合で「キャリアアップシステムが普及するのは難しい」と言い放ったそうです。職種の特性として、1日で小規模な現場を複数個所回ることが多く、「1つの現場にカードリーダーがあっても別の現場が登録されていなければ実績が蓄積されないからメリットはない」という理由です。
更に、「大手ゼネコンにやれと言われた会社は、仕方ないからやれば良いが、そのほかは様子を見た方が良い」と、大手ゼネコンに自分たちが付き合っているだけ受け取られても仕方のない発言があったそうです。

別の職種の専門工事会社は、所属する技能者全員をキャリアアップシステムに登録してカードを持たせ、前向きに取り組んでいる企業です。しかし、社長に話を聞くと、「建設業退職金共済制度と連携するのは良いが、登録していない現場では従来どおりの手続きの一方で登録している現場だけキャリアアップシステムで手続きすることになると、二度手間になる」とあまりメリットを感じていない口ぶりでした。全員登録したのも、「大手ゼネコンの仕事をするために必要だから」という理由だそうです。

そもそもキャリアアップシステムは、【将来の担い手確保に向け、技能者が実績や経験を積んで技能が上がるにつれて適正に評価され、その評価に応じた処遇を受けられる仕組み】をつくってほしいという専門工事業界からの期待に応える形で推進された施策でした。
だからこそ“キャリアアップ”という名前が冠されているのです。このため、当初は大手ゼネコン側から「元請けにメリットがない」という声が出ていたほどなのです。

ところが、むしろ今は大手ゼネコン幹部から「専門工事業者にとってのメリットをもっとつくらなければならない」という言葉が飛び出すほどです。
大手ゼネコンと国土交通省だけが積極的な姿勢を見せ、専門工事業側には“やらされ感”が出て、求める側と求められる側があべこべになっているのが実情です。

キャリアアップシステムを「職人の稼働管理」や「職種間の繁閑調整」に使おうという大手ゼネコンの意図が透けて見えることが、専門工事業が後ろ向きになった1つの理由かも知れません。
しかし、未登録現場と登録現場の混在による煩雑さや、元請けの使い方に対する不満があるならば、専門工事業側がどう改善すべきかを発言すべき立場であるはずではないでしょうか?
より確実に社会保険加入を確認してほしいなら、マイナンバーとの連携をもっと声高に叫べば良いのです。
もしも、大手ゼネコンに主導権を握られ、“厭戦気分”が、蔓延してしまっているなら、その先に当初目的とした技能者の適正な評価と処遇という未来はないでしょう。

いまこそもう一度、専門工事業者がキャリアアップシステムの意義を思い出し、できない理由をあげつらうのではなく、どうすればできるかを提案し、一丸となって推進していくことが望まれます。

(参考資料「建通新聞 論評 3月24日」12面)