建設キャリアアップシステムへの技能者登録が本格化
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建設産業における“処遇改善の基本インフラ”として、4月から本格運用を開始した「建設キャリアアップシステム」について、一部で技能者登録の遅れを危惧する声も聞かれていますが、4月5日までの申請件数(3月分)が従前の約4倍に相当する加速度的な伸びを見せていることが分かりました。
申請件数の伸びは直接的に登録者の増加に跳ね返るため、今後の一層の周知・普及にも弾みがつきます。
申請件数が加速度的な伸び
本格運用を開始した段階での登録者は約2万人(2019年4月5日時点)で、初年度の目標値である技能者登録「100万人」の数字とあまりにもかけ離れた現状に技能者登録の遅れを懸念する声もありました。
しかし、申請件数ベースで見れば、2019年4月5日までの累計値で4万8328件と、5万人に迫る勢いでした。
特に2月2日から3月1日までの1ヶ月(2月分)が4575件となるなど、これまで数千件のペースで推移していた申請件数は、本格運用を目前に控えた1ヶ月間(3月分)で約4倍に相当する1万8472件に急増し、いよいよ技能者登録に本格化の兆しが見えてきたと言えます。
実際に2月2日から3月1日までに一ヶ月の登録者数(登録手続きの完了)が3950人であったのに対して、3月2日から4月5日までの1ヶ月(3月分)の登録者数は7525人と、登録手続きのペースも進展しています。
この直近の申請件数の加速度的な伸びは、今後の手続きの進歩によって、そのまま登録者数の増加に跳ね返っていきます。
運営サイドの改善にも期待
「本格運用」という節目をきっかけにして、ユーザーである建設企業や技能者の建設キャリアアップシステムへの登録・活用の意識と、技能者・事業者からの申請を受けて、審査・登録する運営サイドの手続きが着実にかみ合ってきた印象です。
それを裏付けるように、運営主体である建設業振興基金は、課題の1つとして指摘されている申請・登録手続きの煩雑さに着目し、申請の檀家で発生する不備率の低減をターゲットに、特に不備率高い項目(社会保険加入状況、保有資格)の記載方法の簡素化など、審査スピードの向上を目的にした申請書の改訂に取り組んでいく方針を示しています。
技能者・事業者による申請手続きの増加と、運営サイドの審査・登録の効率化が進んでいけば、建設キャリアアップシステムの周知・普及、ひいては現場における一層の活用につながっていくことは必至です。
運営サイドの今後の改善にも期待が集まっています。
とりわけ建設キャリアアップシステムの最大の目的である技能者の処遇の改善は、技能や経験に見合った賃金の支払いを促す、国土交通省の「建設技能者の能力評価制度」など、システムに登録・蓄積されるデータを効果的に活用する“推進ツール”が機能することで実現されます。
この仕組みは、保有する資格や就業の履歴といった情報が蓄積されることで成り立ちます。逆説的に言えば、技能者や事業者の登録・利用が進まなければ、その効果が発揮されることはありません。
「処遇改善の基本インフラ」である、このシステムの命運を握るのは業界全体による「普及」と「活用」ということになります。