賃上げ非表明者の落札は6%
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総合評価の賃上げ加点/賃上げ非表明者の落札は6%
国土交通省は、賃上げを表明した企業を政府調達の総合評価方式で加点する措置について、直轄工事における2022年11月末の実施状況をまとめた。実落札者の賃上げ表明率は73%で、実施状況を前回まとめた8月末から3ポイント上昇している。非表明者の落札状況を新たに分析した結果、表明者と非表明者の両方が参加した入札で非表明者が落札したケースは6%だった。このケースでは技術点の差で落札に至ったものが大半だった。
11月末の直轄工事 技術点の差が大半
加点措置の運用を始めた22年4月から11月末までに、北海道開発局、8地方整備局、内閣府沖縄総合事務局が契約した3714件の直轄工事(農業・港湾空港関係を除く)を集計・分析した。
3714件のうち、表明者と非表明者の両方が参加した入札で、表明者の評価値を上回って非表明者が落札したのは6%の219件あった。219件の主な落札要因を分析すると、技術点は163件で全体の74%、価格点は56件で26%だった。大半で技術点の差が落札を分けている。
国交省「加点措置は適正な競争環境の中で運用できている」
219件の平均落札率は93.3%で、3714件の平均落札率3.4%とほぼ同じだった。これらの結果から、表明者の評価値を上回って非表明者が落札したケースで、ダンピング(角な安値受注)は生じていなく、この加点措置は適正な競争環境の中で運用できていると国交省はみる。
実競争参加者の表明率に目を移すと、64%となり、8月末に比べて1ポイント上昇した。直轄工事を平均1件以上受注している企業の表明率は77%で、8月末と同様に、直轄工事を安定的に受注している企業を賃上げ表明率が高い傾向にある。
工種別の表明率は、鋼橋上部が96%で最も高く、この後をアスファルト舗装の83%、一般土木の78%が続いた。一方で、造園は37%、電気設備は42%、建築は54%と低かった。公共需要の占める割合が比較的高いと想定される工種は表明率が総じて高い一方、民間需要の割合が比較的高いと想定される工種は低いことが見て取れる。
ただ、維持修繕は別の動きをしている。公共需要の占める割合が比較的高いと想定される工種に該当するものの、表明率が64%となり、一般土木などに比べて低かった。維持修繕は1者応札が多いという特性があり、競争性の低さが表明率の低さに影響していると考えられる。
8整備局の一般土木に限定すると、表明率はA等級100%、B等級90%、C等級78%、D等級53%だった。
都道府県建協から賛否、不安の声も
国交省は、賃上げ表明企業の加点措置に関して、22年12月に各都道府県の建設業協会を調査した結果もまとめた。「賃上げの後押し、社員への還元につながった」など肯定的な意見と、「制度の内容が複雑・分かりづらい」といった否定的な意見の両方が見られた。
賃上げを表明・実施できない理由は、「当該年度の業績に左右されるため」が最も多く、「物価・資材価格高騰のため」と「制度継続の場合、毎年の賃上げは困難」が続いた。「制度がいつまで続くのか不安」と言う声も一滴数あった。
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(参考資料 日刊建設新聞、日刊建設工業新聞 、国土交通省HP、 一般財団法人建設業情報センターHP)