建設業許可申請とは
建設業許可4つのポイント
建設業の許可取得の為には、大きく分けて
下記の4つの要件を満たさなければなりません。
- 事務所要件
- 財産要件
- 経営業務管理責任者
- 専任技術者
A.事務所要件
建設業の事務所として使用出来る場所が必要となります。
自宅兼事務所でも可能ですが、下記要件を満たす必要があります。
- 固定電話、事務機器などを備えていること
- 建物の入口やポスト付近に、商号や屋号が掲げられていること
申請書に、建物外観、入口、ポスト付近
(社名・屋号)、事務スペース(固定電話)の写真を添付する必要があります。
建物の所有関係
所有形態と必要な書類は下記のとおりです。
所有形態 | 必要書類 |
---|---|
■賃貸の場合 | □賃貸借契約書(原本) ※使用目的が事務所と明記のもの ※賃貸借期間が有効なもの |
■自社(自己所有)の場合 | □建物登記簿謄本(原本) |
■使用貸借の場合 ※申請者が法人で、役員宅の一部を使用する場合など |
両方が必要 □建物登記簿謄本(原本) □使用承諾書(原本) ※個人宅の一部を事務所として使用する場合は別途平面図が必要 |
B.財産的要件
建設業の許可を受けようとするときは、財産的基礎又は金銭的信用を有している必要があります。
一般建設業の許可を受ける場合
下記の要件のいずれか一つに該当する必要があります。
- 自己資本の額が500万円以上であること
- 500万円以上の資金を調達する能力があること
- 許可申請の直前の過去5年間に許可を受けて継続して営業した実績があること
特定建設業の許可を受ける場合
直前の決算で、下記条件をすべて満たしている必要があります。
特定建設業の場合は、更新時に上記a~dの条件を満たしていないと更新がすることが出来ません。
下請業者を保護の観点から、非常に厳しい財産要件となっています。
- 欠損の額(※1)が資本金の20%を超えていないこと
- 流動比率(※2)が75%以上であること
- 資本金の額が2,000万円以上であること
- 自己資本の額が4,000万円以上であること
特定建設業の場合は、更新時に上記a~dの条件を満たしていないと更新がすることが出来ません。
下請業者を保護の観点から、非常に厳しい財産要件となっています。
区分 | 要件 | 必要書類 |
---|---|---|
法人の場合 ※いずれか1つに該当 |
(1)500万円以上の現金預金 | □金融機関発行の預金残高証明書(原本) ※法人名義 ※申請時点において証明日が1ヶ月以内 ※大阪府知事許可の場合は4週間以内 |
(2)直近の確定申告書において、自己資本額が500万円以上 | □直近の確定申告書一式(原本) ※税務署提出分の控え一式 |
|
(3)設立後最初の決算期が未到来且つ資本金が500万円以上 | □履歴事項全部証明書(原本) |
区分 | 要件 | 必要書類 |
---|---|---|
個人の場合 | (1)500万円以上の現金預金 | □金融機関発行の預金残高証明書(原本) ※代表者名義 ※申請時点において証明日が1ヶ月以内 ※大阪府知事許可の場合は4週間以内 |
※1:算式を満たしていなければなりません。
{マイナスの繰越利益剰余金-(資本剰余金+利益剰余金+繰越利益剰余金を除いたその他利益剰余金)} / 資本金 ≦ 0.2
※2:算式を満たしていなければなりません。
流動資産 / 流動負債 ≧ 0.75
C.経営業務管理責任者要件
経営業務の管理責任者とは、法人の場合は役員、個人事業主の場合はその代表か支配人のうちの最低限1名が常勤でいなければなりません。
※役員とは
※執行役員は可能ですが、監査役では経営業務の管理責任者にはなることができません。
- 株式会社や有限会社:取締役または執行役員
- 合同会社:業務執行社員組合等:理事
※執行役員は可能ですが、監査役では経営業務の管理責任者にはなることができません。
◆経営業務の管理責任者に求められる経験◆
「経営業務の管理責任者」とは、簡単に言うと「建設業の経営経験」があるかどうかという事です。
法人の場合
常勤の役員のうち、1人が下記のa~cのいずれかに該当する事が必要です。
個人の場合
個人事業主本人か常勤の支配人などのうち1人が下記のa~cのいずれかに該当する事が必要です。
- 許可を取得したい建設工事業に関し、5年以上の経営経験があること。
- 許可を取得したい建設工事業以外に関し、6年以上の経営経験があること。
- 建設業の許可を取得したい工事業に関し、経営補佐経験が6年以上あること。
- 法人 :役員のすぐ下のポジション・営業部長・工事部長等
- 個人 :番頭(支配人)・妻または子等
a ------->
許可を受けたい工事と同じものを経営する会社で役員・支店長・営業所長をしてきた場合や、個人で確定申告をして5年以上経営してきたことがある場合。
※並行して違う工事もやっている場合、 それぞれ5年以上経営していれば両方の種類の経営業務の管理責任者になることが可能です。
※並行して違う工事もやっている場合、 それぞれ5年以上経営していれば両方の種類の経営業務の管理責任者になることが可能です。
b ------->
許可を受けたい工事と違う種類のものについて6年以上役員・支店長・営業所長をしてきた場合や個人で確定申告をして経営してきたことがある場合。例えば、内装の施工を6年以上やってきた人は、全29工事の経営業務の管理責任者になることができます。
※種類については、複数のものを通算しての期間が6年以上となっていても問題ありません。
※種類については、複数のものを通算しての期間が6年以上となっていても問題ありません。
c ------->
取締役や個人の代表者ではなかったけれどもそのすぐ下のポジションで経営者を補佐する形で6年以上、許可を受けたい工事のサポートをしてきた経験がある場合。
補佐とは、工事に必要な資金の調達、技術者等の配置、下請との契約締結などの業務です。
※ただし、この場合は、経験してきたものとは別の工事種類の経営業務の管理責任者になることはできません。
※ただし、この場合は、経験してきたものとは別の工事種類の経営業務の管理責任者になることはできません。
a又はbで申請する事業主様がほとんどです。
aとbをどちらも満たしていない場合はcの検討が必要となります。
この証明は、面倒になることも多く、要相談となります。
これらの要件を満たしていることを証明するための書類が必要となります。
行政庁により違いがあります。
主な必要な書類の例は下記のとおりです。
必要期間の会社謄本の履歴(役員欄)(原本)
必要期間の常勤性が確認出来る書類(原本)
(法人)
- 所属期間の厚生年金の加入証明
- 全員分の賃金台帳+源泉領収書(約3ヶ月分)等
(個人)
- 事業期間の確定申告書一式
必要期間の工事実績が確認出来る書類(原本)
(法人・個人)
- 契約書 及び 注文書
- 請求書+入金確認 及び 確定申告書一式
(許可業者が証明する場合)
- 建設業決算変更届等
現在の常勤性が確認出来る書類
(法人)
- 健康保険被保険者証の写し+標準報酬決定通知書
- 役員報告(直近)
- 全員分の賃金台帳+源泉領収書(約3ヶ月分)等
(個人)
- 直近の確定申告書一式
- 国民健康保険証の写し
経営補佐経験・執行役員経験を証明する書類(原本)
(法人)
- 証明会社の印鑑証明書+会社の組織図
- 証明会社の印鑑証明書+執行役員程・業務分掌規定・議事録等
(個人)
- 確定申告書一式(専従者欄)
D. 専任技術者要件
建設業法で、各営業所に建設業に関する一定の資格又は経験を有する技術者を専任で配置する必要があります。
要件を満たしていれば経営業務の管理責任者 と兼任ができます。
社長が一人で経営業務管理責任者と専任技術者を兼務して許可を取得しているケースが多くを占めます。
要件を満たしていれば経営業務の管理責任者 と兼任ができます。
社長が一人で経営業務管理責任者と専任技術者を兼務して許可を取得しているケースが多くを占めます。
◆専任技術者に求められる資格◆
許可を受けようとする建設業の業種について、資格も含めて次のいずれかを満たすことができれば専任技術者になることができます。
一般建設業許可
1) 一定の国家資格等を有する
>>業種別国家資格等一覧はこちら
2) 10年以上の実務経験を経験している。
実務経験とは、建設工事の施工に関しての技術上のすべての職務経験が対象です。
発注にあたって設計技術者としての経験、現場監督技術者しての経験、土工やその見習いとしての経験も全て含まれます。
一人で認められるのは10年間で1業種だけです。
但し以下のような緩和措置があります。
発注にあたって設計技術者としての経験、現場監督技術者しての経験、土工やその見習いとしての経験も全て含まれます。
一人で認められるのは10年間で1業種だけです。
但し以下のような緩和措置があります。
●一式工事の経験を専門工事への実務経験に振替ることが可能です。
※専門工事の実務経験が8年以上あれば、一式工事の実務経験を4年以上積んでいることで専門工事の専任技術者になることができます。
(例)屋根工事の実務経験が8年以上ある場合、建築一式工事の実務経験4年以上で、専門工事の「屋根」の専任技術者になれます。上記の場合、建築一式工事の実務経験が10年なると、合計18年で「屋根」と「建築一式」の2業種の専任技術者になることができます。
※上表の⇒ように一式工事の経験を専門工事の経験に振り替えることだけが可能ですので、専門工事の経験は一式工事や、その他の専門工事の経験には使えません。
●一部の専門工事間で実務経験の振り替えが可能です。
大工⇔内装仕上
両方ともの業種の振り替えが認められますが、この2業種間同士でしか認められていません。期間の長い業種の専任技術者になることができます。
(例)大工工事の実務経験が8年以上あり、内装仕上工事の実務経験が4年あれば、大工工事の専任技術者になることができます。
3) 建設業の業種に応じた学歴があって、高卒で5年、大卒(短大卒も含む)で3年以上の当該業種に係る実務経験がある。
指定学科は建設業法施行規則で決まっています。
※専門学校卒業の場合も認められています。 高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となります。
※ただし電気工事業、消防施設工事業については別の法律により実務経験によって専任技術者になることを認めていない行政庁があります。
>>業種別学科一覧はこちら
※専門学校卒業の場合も認められています。 高度専門士、専門士の称号をお持ちの場合は大卒と同じ扱いになり、それ以外の専門学校修了の場合は高卒相当となります。
※ただし電気工事業、消防施設工事業については別の法律により実務経験によって専任技術者になることを認めていない行政庁があります。
特定建設業許可
4) 一定の国家資格等を有する
>>業種別国家資格等一覧はこちら
5) 一般建設業許可の専任技術者の要件(1、2、3)を満たしている者で、申請業種に対応する建設工事のうち、「元請工事かつ請負金額が4,500万円以上」であるものに関する「指導監督的実務経験が通算2年以上」ある。
※指定建設業の場合は(4)のみ
これらのうち(1)や(2)の国家資格等を有している場合であれば、その資格者証だけで専任技術者になることができますので非常に証明は簡単になります。 これらの要件を満たしていることを証明するための書類が必要となります。 主な必要な書類は下記のとおりです。
これらのうち(1)や(2)の国家資格等を有している場合であれば、その資格者証だけで専任技術者になることができますので非常に証明は簡単になります。 これらの要件を満たしていることを証明するための書類が必要となります。 主な必要な書類は下記のとおりです。
●(1)又は(4)の場合
免状・資格者証の写し
(+該当する場合は資格取得後の実務経験証明資料:下記「(2)の場合」の書類に同じ)
現在の常勤性が確認出来る書類
(※経営業務管理責任者要件と同様 )
●(2)の場合
必要期間の工事実績が確認出来る書類
※経営業務管理責任者要件と同様
必要期間の常勤性が確認出来る書類
※経営業務管理責任者要件と同様
現在の常勤性が確認出来る書類
※経営業務管理責任者要件と同様
●(3)の場合
卒業証明書(原本)
※申請時点において証明日が3ヶ月以内
実務経験証明書類
(=「(2)の場合」の書類)
●(4)の場合
「(1)(2)(3)の場合」の書類
+指導監督的実務経験に係る工事実績書類
※契約書・注文書・請求書+入金確認等(建設業決算変更届は不可)
※契約書・注文書・請求書+入金確認等(建設業決算変更届は不可)